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エミリー

エミリーエミリー
嶽本 野ばら

集英社 2005-05-20
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<評価>
重い。。。がよかった20060517191140.gif

<ストーリー>

“この残酷な世界に生み落とされたのは、きっと貴方に出逢う為だったのですよね”。少年と少女の困難で美しい生と性を描いて三島由紀夫賞候補となった表題作はじめ、アートとファッションへの美意識を核に咆哮する三つの愛の物語は、「うっとり読んでいると、破壊力抜群の言葉になぎ倒される」(解説より)。孤高の乙女魂と、永遠の思春期を抱くすべての人に放つ、珠玉の恋愛小説集。



<感想>
野ばらさんの作品はロリヰタ。と、下妻物語を読んだことがありますが、どちらも素晴らしい本でした。
ロリヰタ。の方はシリアスで、下妻は知ってのとおりコメディ。

どちらも自分らしい美意識を持ってるがゆえに少数派となってしまった彼らの生き方に励まされたり、歯がゆさを感じたり。

* * * * * * * *

さてさて、感想の方ですが、最初のレディメイドという作品はあんまり好きじゃないです。美意識の強い者通しが、死ぬ約束をするという話。
エピソードに、ネット通販は嫌い、欲しいなら苦労して手に入れろ、という話があって、うっときました。
美意識、足りないようです。。。

* * * * * * * *

次に、コルセットというお話。
これは、鬱病で、オシャレな男性の物語。
死のうと決めて、恋焦がれていた受付の女性に一日だけのデートに誘う。二人の影がピタリと重なり、惹かれあっていくという話。
女から見たら、この女性は相当性格がいやらしい。
清純なくせに卑怯、弱気なくせに根性が悪い。
本当に悪女という自覚がないから、なお悪い。
だけど、野ばらさんの手にかかったら不思議とそこまで嫌悪感はない。
一つ一つの文章、会話が美しすぎて、すごーく暗い二人の話なんだけど、最後はむしろすがすがしさを感じた。よく言ったと褒めてあげたいぐらい(でもこれは賛否両論だと思う)

* * * * * * *

エミリーはとても痛い話だった。
幼いころ受けた出来事から男性恐怖症な女の子と、同性愛者の男の子。
芸術に興味があること、そして二人ともいじめの対象となっていることから、お互いのために決して学校では話をしないという条件の下、二人は交友を深めていく。
強い絆で結ばれながらも、その関係は約束のような確かなものは何一つなくて、読んでいて不安になる。
だけど読むにつれ、たしかに二人は深く繋がっているんだな、と思うことができる。
こんな愛情があるのだろうか、と心にズシンといつまでも残る。
いじめの描写、セックスの描写は生々しく残酷で、はっきり言って目を背けたくなるくらい。
だけど、これを背けずに生きている彼らと時間を共に過ごす事で彼らの深い闇をより知ることができるだろう。
本当に、かつて読んだことのない、絆の形があった。

野ばらさんはずるい。とつくづく思う。
こんな暗くて、死ぬことばかり考えていそうな登場人物を出して、
喝を入れたくなるのにどうしてもできない。
彼らを受け入れられるほど強い個性が私の中にはないけど
彼らの闇の部分が、君の心にもあるだろ?とどんどん私の中に入ってくるからだ。
共感もできなければ、拒絶することもできない。
中途半端な気持ちのまま、かすかの希望を残して物語は幕を閉じた。
誰かと繋がりたい、分かり合いたい、セックスしたい。
それを番うという言葉で表現した。
野ばらさんの文章は哀愁を帯びていて、切なくてエロティックだ。
乙女の心を忘れない、ということは、こういうことから始まるのかもしれない。

重い作品ですが、口当たりのよい読書だけじゃなくて
こういう本もたまには読んでみるのもいいな、と思いました。
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