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温室デイズ

瀬尾さんの書き出しはいつも変わっている。
拍子抜けするような書き出しで、えっ!?と読者を驚かせ、
なぜかそれがしっくりくるともう瀬尾さんの世界に引き込まれてしまっている。
それが今回は、最初から重い。内容が重いもの、と知っていたけど最初からシリアスモードである。
だけど相変わらず、その世界に引き込まれるのはあっという間。

温室デイズ温室デイズ
瀬尾 まいこ

角川書店 2006-07
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<評価>
読めてよかった20060517191140.gif

<ストーリー>

教室に紙飛行機が飛びはじめる。始まりの合図だ。もうすぐ崩れだす。でも、教師はまだ気づかない。日本の平和ボケは、学校の場でも存分に発揮されている。生温い方法では、もう追いつかなくなってしまうのだ。「今なら、なんとかなるはずだよ」。私は祈るような気持ちで崩れていく学校を見ていた…。この温室のどこかに、出口はあるのだろうか―。ふたりの少女が起こした、小さな優しい奇跡。ひりひりと痛くて、じんじんと心に沁みる。


<感想>
強運の持ち主の軽さはどこへいったの?と思うくらいに今回はまじめ。
気合を感じる。
瀬尾さんの言葉をお借りすると

今一番興味のある中学生、の戦う姿を書きました。


とのこと。
ダ・ヴィンチのエッセイ、「ささいな毎日」ではほっとする日常を書いておられたので、この重い内容にはかなりびっくりしました。。。
だけどひどいいじめにあってもなお、教室に通い続けるみちる。
そんなみちるの状態を見てられなくて、何もできない自分がはがゆくて保健室登校を続ける優子。
自らパシリとなった斉藤。
どれも、現実に私が見てきた世界とぴたりと重なった。
私は、自分の中学時代とこの本を重ねずにいられなかった。

私はみちるのようにひどい仕打ちを受けたことはないのだけど
友人関係がうまくいってなくて、いつも輪からはみ出すことが怖かった。
学校に行きたくなくて、でも一度でも休んだらもういけなくなる
そう思って、無欠席で卒業した。
その点はみちると同じ。
保健室登校をしている子も多かったけど、あそこは異質、というイメージがあって、そこには入りたくないと思っていた。

不登校、保健室、フリースクール。
さまざまな学習の仕方がある。
だけどやっぱり学校って本来、同年代の人が力を合わせて何かを成し遂げたり、思い出を作ったり、友達と共有するって体験をできる場所としてとても必要な場所だと思う。
あるべき姿をなくした場所に、無理やり押し込めるつもりはない。
ただ、あるべきものがなくなった状態というのが悲しいのだ。
瀬尾さんは子供たちを責めていない。
それぞれの立場の子供たちの気持ちを丁寧に描き、
誰のせい、とは一言も言っていない。
それが、子供への愛情なのかな、と思った。
子供が悪いのではなく、接する環境=大人が
現代は病んでいるのかもしれない、と思った。

卒業してから学校に遊びに行ったときに
グラウンドをキャーキャー言いながら楽しそうに走る生徒を目撃した。
「楽しそうですね。いいなぁ、私も戻りたい」
と何気なく口にした。
先生は言った。
「あいつらだっていろいろあるんだよ」


過酷な状態の中、子供たちはそれぞれ戦い、希望のあるラストで幕を閉じた。
中学生って、がんばってるんだな。
ひょっとしたら、今の私よりもずっと。
この本を読んでいない、すべての人にぜひ読んでほしい。
この記事へのコメント
こんにちは。sonatineさん。
私もこの作品を読めてよかったとつくづく思いました。
大人が気がついていない子供の世界を、現役の教師なりに見事に描き伝えた作品だと思います。
私も、小学生の時にひどいいじめを体験しておりますので、自分のことのように思えました。

>学校に行きたくなくて、でも一度でも休んだらもういけなくなる

そうなんですよね・・・・この心境、本当によくわかります。

あと、みちるがお父さんにバレないようにがんばってた姿。
まるで自分のようでした。
ゆう | URL | 2006/09/11/Mon 11:57 [EDIT]
中学生
sonatineさん…こんにちは。
私も自分の中学時代を思い出すと楽しいことばかりじゃなかった気がします。
中学生ってホントに大変なんですよね。
勉強も部活も恋も友情もてんこ盛り。
この本を手にして軌道修正できる子がひとりでも増えるといいですね。

ユミ | URL | 2006/09/11/Mon 12:21 [EDIT]
読んでよかった。
 こんばんは。
私も今は簡単にあの頃に想いを馳せてしまうけれど、当時は嫌なこともたくさんあって、それが世界の全てだったから、本当に必死でした。
みんながみちるのような選択はできない。
本当にいじめがこの世からなくなりますように・・・。
☆すぅ☆ | URL | 2006/09/11/Mon 22:38 [EDIT]
ゆうさんへ

>まるで自分ののようでした。
私もいじめとか仲間はずれとかって、親に言うと心配かけたくないし恥ずかしいって思いがありました。
厳しい父親がいじめられてることを隠そうとする娘を、守ろうとする姿勢に胸が打たれました。
子供を信じる。子供をまず守ろうとする。
それが一番、親に子供が求めることなんじゃないか、と思いました。

* * * * * * * * *

ゆみさんへ

この本を読んで、本の力ってすごいのかも!と改めて思いました。
いいのか悪いのか課題図書になっているらしいので、中学生がこの本を読んでどう思うのか、知りたいですね。

* * * * * * * * * 

☆すぅさん☆へ
>それが世界の全てだったから、本当に必死でした。
胸がズキっとしました。
学校がほとんどを占めますよね。だから逃げ場がない。
多数決主義。自分の言い分より周りの常識。
それでも「温室」と言い切れるみちるは大人だなと思います。
私は当時は温室なんて考えもしなかったけど
社会人になった今、あそこは温室だったと思います。
とてもぬるくて、自由じゃない居心地の悪い温室ですが。
sonatine | URL | 2006/09/11/Mon 22:56 [EDIT]
はじめまして!
ご訪問ありがとうございました。
わたしもいつもダ・ヴィンチでの瀬尾さんのエッセイを微笑ましく読んでいたので、これにはちょっとビックリしましたねー。
きれいごとだけで終わらず、心に響くいいお話でした。

TBなんですが、どうやら数日前からなぜか反映されなくて。
せっかくいただいたのに反映されていない状態です。申し訳ありません。

これに懲りずにまたご訪問いただけたら幸いです。
ミカ丸 | URL | 2006/09/14/Thu 17:01 [EDIT]
ミカ丸さん、こんにちは。TBありがとうございます。
何度かトライしてみましたが、だめでしたi-182
また違う記事を読んだときはTBさせてくださいまし。
ミカ丸さんもダ・ヴィンチ愛読者なんですねw
今回の話はドーンと重かったけど、いい話でしたね。
瀬尾さんの次の新刊は、明るいのを読みたいなぁ~。
sonatine | URL | 2006/09/15/Fri 20:29 [EDIT]
こんばんわ^^
読んでいて、とっても辛かったですね。
でも、読むべきですよね。
親も先生も中学生も皆読んで、いろいろ感じてほしいですね。
先生がいじめられっこに目を背けちゃダメですよね。
考えさせられました。
苗坊 | URL | 2006/12/13/Wed 23:19 [EDIT]
教育はボランティア精神がなければ勤まらない、といいますが、ほんとにそうだと思います。
私の友人が、難関をクリアして先生になりました。
仕事に追われ、自由な時間はほとんどないそうです。
それでも、楽しそう。
そういう人が先生になってくれれば、と思います。
sonatine | URL | 2006/12/16/Sat 00:19 [EDIT]
こんばんは★
重いテーマを扱っているだけに、
大切な何かがいっぱい詰まっている作品だと感じました。
現役教師である瀬尾さんだからこそ書ける、
残酷なまでのリアルな描写が、ずんっと心にのしかかりました。
困難に遭遇した時の対処法。
みちると父の絆、優子と両親のそれ。
それぞれが対照的に描かれていたのが印象的でした。

温室というと聞こえはいいかもしれませんが、
それがもつ閉塞感・密室状態は、
学校というものをよく象徴しているようにも思えました。
学校というのは、時にして窮屈なものでもありますもんね。
一番"生きづらさ"や"やるせなさ"を感じる頃なのかもしれません。
学生時代を終えてしまった今だからこそ、
そういう風に思えるのですけどね。
Rutile | URL | 2007/06/12/Tue 23:11 [EDIT]
Rutile様、はじめまして。

>温室というと聞こえはいいかもしれませんが、
それがもつ閉塞感・密室状態は、
学校というものをよく象徴しているようにも思えました。

うん!私もそう思います。
学校って窮屈ですよね。楽しかった思い出もたくさんあるけど、あまり好きじゃないです。
sonatine | URL | 2007/06/15/Fri 15:36 [EDIT]
こんにちは。

>あるべきものがなくなった状態というのが悲しいのだ

本当にその通りですね。それに抵抗しようとしてでもやっぱり自分の無力が再確認させられることにしかならないことの方が多いけど、みちるはそれでも負けなかった。それが印象的な本だった気がします。

僕の通っていた学校には保健室登校もなければ別室登校もなかった。だから「温室デイズ」のような世界は少しわからなかったのだけれど、これが普通の世界なんですね。

外からみたら過ごしやすそうな温室でも、中で虫が飛んでいたり暑苦しくなっても外に飛び出ることもできない。温室ってタイトル、今になってストンと理解できた気がします。
kbb | URL | 2009/01/10/Sat 11:39 [EDIT]
kbbさん、コメントありがとうございます。
温室もいろいろありますもんね。
ミチルみたいな強い子、なかなかいないだろうなぁ。
いじめは昔っからあったけど、話を聞いていると、今の子はもっと大変な気がします。
今、あの世界にやられたら、やっていけなさそう・・・。
sonatine | URL | 2009/01/13/Tue 19:28 [EDIT]
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