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薔薇の花の下 狗飼恭子

4344403983薔薇の花の下
狗飼 恭子

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恋人が自分以外の誰かのものになるのが嫌なので、死んでくれたらいいと思ったことがある―。二十六歳の五百沢今日子は、一日中恋愛のことばかり考えている恋愛小説家。小説よりも切実で残酷な現実に、悩み、うろたえ、涙している…。最も若い世代の小説家として注目を浴びる著者が、今、この時代に誰かを愛することの意味を問う長編小説。


これ、自伝小説っぽい小説です。

この作品も、恋愛中心の女性が主人公。
でも、気づいたら作家になっていた、とか
書きたいという気持ちが強いところ。恋愛小説しか書けない理由など
どうしても狗飼さんを思わせる箇所がいくつもありました。
印象的なのは、編集者さんとの打ち合わせのシーン。

五百沢さんのリアルを読者は読みたいと思うんです


そしてそのとおりに作家さんのリアルが詰まっていた。
ほかの小説とどう違う?と聞かれたらうまく説明できないのだけど、
確かに他の狗飼作品とは違う。
そして他の作品より、好きだ。
それはやっぱり狗飼さんのリアルを感じれるから。
夢がない、と思いつつも、周りから見れば夢をかなえた小説家という職業。
でも、主人公からすれば、気がついたらなっていたという感じで、芸能人やカフェ設立の夢を追いかけている友人や恋人たちに思いを重ねたりする。
人から見た幸福。自分で感じる幸福。
それは一致しなくて。
満たされないのは、自分の中にある不安や孤独を自分自身で解消する力を持っていないから。
だから誰かと一緒にいても不安が時より押し寄せて、絶対的な幸せに満たされることはない。

恋愛小説家は、『切なさ』が大切だ。
だから幸せに溺れすぎてはいけない、らしい。
この主人公も、幸せすぎて別れを考える。
作家は全力で作品を書く。
自分の、恥ずかしいこと、つらかったこと、楽しかったこと、書きたくないこと、人生のすべてをかけて。
その理由は、単純に書きたいから。

私も小説家になりたいと思ったことがある。
小学校のころは話を作るのが好きだった。
でも、どれも完結しないで終わった。
主人公を不幸にできなかった。
だから話がうそ臭くて、盛り上がらない。
自分の恥ずかしいことはかけなかった。
むしろ、できないことを小説で達成しようとした。
だからぜんぜんリアルじゃなかった。
私が狗飼さんの小説を読んでもどかしく感じるのは、
うまい、とはいえないけれど心に響くダイレクトな繊細な感性。
私はこういうのを書きたかったんだ。
けれど書けない、と思ったし、そこまで書きたい気持ちが強くなかったから私は読み手にまわった。
私の書きたかったこと、書けなかったこと。できなかったこと。なれなかったもの。
それを狗飼さんはできているから、うらやましいなぁと思う。悔しいなぁと思う。そう思うのはお門違いかもしれないけど。
作家という職業の苦しみを経験しながら、この人は本物の作家になっていくのだと思う。
やっぱり私は読み手でいたい。

最後に。狗飼作品を続けて読むのはきついです。
できれば、間隔をあけて読むのをお勧めします。
次は、底抜けに明るい小説を読もうかな。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌
この記事へのコメント
sonatineさん、こんばんは。お久しぶりです!
狗飼さんの小説は、ダイレクトに心に響いてくる言葉がいくつもあって、
ときどき無性に読みたくなります。大好きな作家さんではないけれど、ついつい気になってしまう…そんな感じでしょうか。
トラックバックさせてくださいませ。
ましろ | URL | 2005/08/11/Thu 20:23 [EDIT]
ましろさん、トラックバックありがとうございます。
こちらからも送らせてもらいました。
ましろさんの記事は、文章がとても好きです☆
sonatine | URL | 2005/08/12/Fri 17:30 [EDIT]
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薔薇の花の下
 “わたしにできることは数えるほどしかないけれど、だからこそわたしは、それをとても上手にできる。たとえば誰かを愛することを…”こんなふうに言いきれたら、スカッとするのではないだろうか。そう感じてから2年以上が経ったのに、私には上手にできることが見つからな
まっしろな気持ち 2005/08/11/Thu 20:25
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