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ぽろぽろドール

豊島 ミホ
幻冬舎
発売日:2007-06


美しくも官能的で、残酷なまでの思いを人形に託した人たちの、切なくもまっすぐな物語。


人形ってなんだか怖い。
キャラクターではなく人間の造形をしているとなおさら「かわいい」よりも夜中動き出しそうで怖い・・・。
でも、この本を読んでいると、登場人物たちが生身の人間とうまく付き合えない代わりにパートナーとして人形をそばに置く、という気持ちもわからなくはないな、と思いました。
主人公たちにとっては、他の周りの人たちよりも人形との関係が濃く、それが寂しい気持にもさせられるのですが、不思議と嫌ではない。
全部の話が素晴らしく、未知の分野に導かれて、すっごく楽しめた読書でした。

ぽろぽろドール
おばさんより譲り受けた涙の出るしかけの「ぽろぽろドール」
嫌なことがあると叩いて泣かせていたドールから、やがて少女は恋をして少しずつ離れていくのだけれど・・・。

…目覚めちゃったんでしょうね(笑)
自分が男の子なら、彼女の本音を知ったら嫌だけど、この手の女の子は小悪魔になって男の子を魅力しちゃう気がします。
それが、彼女の過去の体験から男性への復讐なのかな?


てのひらの中のやわらかな星
分校出身の容姿の冴えない女の子は、街の高校にでて、美しいクラスメイトの冬馬かおりに目を奪われる。
接点のないが憧れは強く、そしてそれは冬馬そっくりな人形を着飾ることで満たされていく。

豊島さんだからこそ、書ける話だと思います。
きれいな同級生にあこがれるけど、なれない。近づけない。
理想と現実のギャップに苦しむ時期があったなぁ。懐かしい★
最後はちょっと希望があって好きです。

めざめる五月
ミカと名付けた人形を愛でる男の子と、それにそっくりな顔を持つ女の子の物語。
転校生同士、限られた時間の中で秘密のつながりを持つ。
それも美しい男の子の誰にも言えない恥ずかしい秘密を知っているのは私だけ。

ちょっと官能っぽさがあって、読みながらドキドキしました。


サナギのままで
坊ちゃんと下女の私は、年少の頃から仲良く過ごした。
やがて歳月がすぎ、坊ちゃんは戦争へ行くことに。
ギラギラとしていた目は影をひそめ、死に怯えながら戦場で散って行った坊ちゃんを、
女はマネキン作りで執拗にその姿を作ろうと発起する。

女の感性がいい。
こう言っていれば、ああ言っていれば。
本音を素直に言っていれば、後悔はなかったのかな?
「行っちゃいやだよ、坊ちゃん」
こういうことを言われたら、男のひとは嬉しいだろうなぁ。
古風な世界観が、上品で好き。


きみのいない夜には
いちばん、濃くてドール好きの究極はきっとこういう世界なのかも、と思わせてくれる作品。
ドール好きの女子大生は彼氏と同棲中。
オークションでドールを落札したが、それからも出品者からドールに向けての手紙が届き続ける。
彼氏=ノーマルな人で、主人公とオークションの出品者=マニアック、な人が気持ちを共有している。
会ってもいない、よく知りもしないのに理解している。
芸術家さんと付き合うのは難しそうだなーと思った作品。

僕が人形と眠るまで
僕はとっても美しい容姿をしていたが、事故で顔の均衡が崩れてしまう。
世界が変わるだけでなく、僕も僕への世界が変わる。
怖いものなんかなくて、いつでも優位に立っていたポジションが反転し、
それを冷静に受け止める主人公。
そして、気持ちは過去の自分と、その象徴である美しい彼女に似たドールに惹かれていく。

淡々としているのだけどもとても心に残る作品。
何かのきっかけで大きく世界が変わることもあるし、
必ずしも人生にドラマティックなことがあるとも限らない。
時間は流れていくだけなのかもしれない。
結論が出ないけど、そういう余韻も悪くない。
この本の中で一番、印象に残る作品でした。
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